アメリカのリベラリズムとカトリックの中絶問題

アメリカにおけるカトリックの思想的・政治的な多様性を明らかに

アメリカにおけるカトリックは、プロライフ(中絶反対)なのか?
教皇を頂点とする教義と多元主義社会の狭間で信徒はどのように振る舞ってきたのか。
ケネディやバイデンといった影響力の強いリベラル・カトリックの系譜と、ロールズの政治思想等にも与えた思想的影響を探究。



【本文からの引用など】
「この米国のカトリック及び中絶に関係する論点は、本書(特に第2部)でも提示するように、大統領選挙中に大きな騒動を巻き起こしたり、生命倫理学を誕生させたりした。そうした出来事には、「生命倫理」の枠では論じきれない、米国政治及び米国社会におけるカトリックの特殊性も影響していた。建国以来長らくWASP(白人、アングロサクソン、プロテスタント)が影響力を保持してきた多元主義社会の民主主義国家「アメリカ」の政治と公共領域において、(非カトリックの人民にとって、敬意を払うことはあっても信仰の対象ではなく、米国の人民でもない)教皇を頂点とする教導職たる聖職位階制の教えに従うことを求められるカトリック信徒は、非カトリック信徒の人民に警戒心を抱かせるものであった。」



●著者紹介
池端祐一朗(いけはた・ゆういちろう)
1985年静岡県に生まれる。
2012年立命館大学大学院先端総合学術研究科先端総合専攻一貫性博士課程退学(修士号取得)。
2024年大阪大学大学院人間科学研究科人間科学専攻博士後期課程修了。
現在公益財団法人ひょうご震災記念21 世紀研究機構人と防災未来センター研究員。博士(人間科学)。専攻/倫理学。
著作 「 アメリカのリベラリズムとカトリックの中絶問題――宗教の教説と多元主義における政治の思想研究」(博士論文,2024年受理)「リベラル・カトリックとウォルター・モンデールの軌跡――カトリック大統領・生命倫理学・女性副大統領の誕生」(『共生学ジャーナル』第7号,2023年),「カトリックの教説から見る中絶問題――中絶に関わる諸事項の関連」(『生存学研究センター報告』第10号,2009年),他。
著者 池端祐一朗
出版元 ナカニシヤ出版
頁数 376頁
発行日 2025-06
ISBN13 9784779518720
ISBN10 4779518725

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