文化大革命を起こしてはならない

作家・比較文学者の小谷野敦が、二〇一二年から二〇一八年まで『出版ニュース』に「凍雲篩雪(とううんしせつ)」の題で連載した時事エッセイ的な評論と、二〇一八年からブログ「猫を償うに猫をもってせよ」に載せた記事を集めて適宜編集した文章を収録。
国家とは、天皇制とは何か。言論弾圧、人文学者の怨嗟、ニセ学問などについて、独自の視点から縦横に語る。

「学問というのは、自然科学がそうであるように、客観的な事実を提示するものであって、政治的に正しい議論を導くものではない。だが、文学研究というのは、基本的な作業が終って、もうあまりやることは残っていない。それに対して、今後の文学研究は社会正義のためにあるべきだと言う人たちが、ポストモダンやポスコロやクイアといった学問をやっている。それらは学問ではない、という声があがっても、彼らはそれを力で押さえつける。つまり文化大革命が世界的に起ころうとしているのだ。
もし文学研究がもうやることがないなら、ダウンサイズして、これまで分かったことを教えるだけの文学学校的なものになるのもやむをえないと私は考えている。文化大革命を起こされるよりはずっとましである。」(本書序文より)
著者 小谷野敦
出版元 読書人
頁数 528頁
発行日 2025-07
ISBN13 9784924671959
ISBN10 4924671959

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