お知らせ
【What’s New!】週刊読書人2024年7月19日号
【特集】
月刊『地平』創刊記念鼎談=熊谷伸一郎 · 武田徹 · 内田聖子
読者と同じ「地平」に立ち議論する
【本紙イントロより】
二〇二四年一月、「言葉のちから」を信じ、新たな知の広場をつくることを目指して、本の街・神保町に新たな出版社・地平社が誕生した。同社を立ち上げたのは、岩波書店『世界』の元編集長・熊谷伸一郎氏。四月に書籍六点を同時刊行、五月に書籍二点を刊行し、六月には月刊誌『地平』を創刊して出版界の話題をさらった。小紙では月刊誌『地平』創刊を記念して鼎談を企画。『地平』編集長の熊谷伸一郎氏、ジャーナリスト・評論家の武田徹氏、NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表の内田聖子氏にご登壇いただき、『地平』第二号の校了を終えたばかりの熊谷編集長には地平社創業と『地平』創刊後の手応えを実感とともにお話しいただいた。(編集部)
今年六月に誕生したリベラル論壇誌『地平』創刊を記念して、『地平』第二号の校了を終えたばかりの熊谷伸一郎編集長とジャーナリスト・評論家の武田徹氏、NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表の内田聖子氏にご登壇いただいた。
鼎談では、今年一月の地平社創業から、六月の『地平』創刊とその手応え、新雑誌創刊に懸ける想いから、この雑誌が与えるインパクトとその期待など話題は尽きず、なかでもボルテージが上がったのが、いかに新しい人を巻き込むか、独立性を保ちながら言論の多様性を支える雑誌をどのように開かれたものにしていくかという議論だった。
「あー!また“ひと場所ひと場所頑張るしかないっス”みたいな力士コメントになってる!!」と、熊谷編集長がときに頭を掻きむしりながら交わされた議論は、是非紙面で(想像しながら)お読みいただきたい。
記事に入れられなかった話を一つ。『地平』では書評も重視しているという。全国から書店の灯が消えていく厳しい現実がある一方、独立系の書店や個性的な版元が増えて、出版の世界は多様性を増し豊かになっているようにも思える。熊谷編集長は「書評は小規模版元、学術系出版、地方・小出版、この三つでいく」と話す。コーナータイトルは「Independent Book Review」。創刊号では清田義昭氏による出版批評と文化人類学者・今福龍太による書評『シュテファン・バチウ』(阪本佳郎著、コトニ社)、第二号では高井ゆと里氏による時評と、政治学者・松尾隆佑氏による書評『ソール・アリンスキーとデモクラシーの挑戦』(石神圭子著、北海道大学出版会)が取り上げられた。本を手渡す現場から声を伝える三人の書店員によるリレー書評「個と場と本」、編集部員の顔が見える「編集部のイチオシ新刊」も選書がユニークで楽しみなコーナーになった。(T)
この7月も、地平社から新たに3冊の新刊が刊行される。
2024年7月19日発売 立岩陽一郎著『NHK 日本的メディアの内幕』
2024年7月29日発売 遠藤美幸著『戦友会狂騒曲〔ラプソディー〕』
2024年7月29日発売 川崎 哲/青井未帆編著『戦争ではなく平和の準備を』
◎創刊記念特別キャンペーン(年間定期購読料(税・送込):9800円)は7月末まで。
【今週の読物】
▽『世界の絵本・作家総覧』(勉誠社)刊行記念(神田由美・眞静代・菊池壮一)(8)
▽著者から読者へ=『関東大震災 被災者支援に動いた女たちの軌跡』(浅野富美枝)(7)
◇連載=「真の映画作家ロッセリーニ」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉姜信子・山内明美『忘却の野に春を想う』(米倉伸哉)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側(横尾忠則)(7)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife㉓・田原桂一(小林康夫)(7)
◇連載=戯史 平成紀〈七月〉(安倍夜郎)(7)
【今週の書評】
〈3面〉
▽高木博志著『近代天皇制と伝統文化』(河西秀哉)
▽伊藤直著『戦後フランス思想』(鹿野祐嗣)
▽重信房子著『パレスチナ解放闘争史』(早尾貴紀)
〈4面〉
▽栗生沢猛夫著『キエフ・ルーシ考断章』(渋谷謙次郎)
▽尾原宏之著『「反・東大」の思想史』(河野有理)
▽ダーフィット・デ・ヨング著『ナチスと大富豪』
(櫻井信栄)
〈5面〉
▽小林エリカ著『女の子たち風船爆弾をつくる』
(八木寧子)
▽前田恭二著『文画双絶 畸人 水島爾保布の生涯』(南陀楼綾繁)
〈6面〉
▽磯野真穂著『コロナ禍と出会い直す』(入山 頌)
▽森まゆみ著『じょっぱりの人』(小川公代)
▽辻山良雄著『しぶとい十人の本屋』(柳沼雄太)